Vol. 59 フィンランドで感じた日本のグローバル化
(2014年12月26日)
所用のためイギリスとフィンランドに行ってきました。フィランドは初めてでしたが、非常に親日的な雰囲気が印象的でした。
まずヘルシンキの空港に到着して驚いたのが、「ゲート」などと日本語で書かれた案内表示があったことです。もちろんフィンランド語や英語などはもちろん、中国語、韓国語の表示も並んでいましたから、別に特別扱いではないのですが、世界の主な空港で日本語の案内表示を見かけたことはあまりなかったように思います。
ホテルに着いてチェックインした際、渡された説明・注意事項などを記載した用紙がこれまた日本語。かつてバブル期に日本人の海外旅行が急増した頃、ニューヨークやロンドンなどのホテルで日本語の説明書などをくれるところが増えましたが、それも最近ではあまりお目にかからなくなっています。
ヘルシンキ市内でも要所要所で日本語の観光案内などを手にすることができましたし、現地の人が「日本人か」と聞いてきて大変フレンドリーに接してくれました。
2~3年前にニューヨークを訪れた際、どこかの案内表示に中国語と韓国語はあるのに日本語がなかったことにさびしい思いをした経験がありますので、フィンランドのこの様子は少し意外でした。やっぱりフィンランドは親日国なんだなあ、と実感しました。そのようなフィンランドの姿勢に今度はこちらが親近感を覚えました。
実はここに、日本が学ぶべき重要なポイントがあります。第1に、多言語対応の重要性です。日本は2020年に東京五輪を控えていますが、都内の道路標識などは日本語だけというところがまだ多いのが現状です。日本語の下に英語表記もついていると思ってよく見ると、日本語をローマ字にしただけのものも少なくありません。これでは外国人にとって意味不明です。最近は英語、中国語、韓国語の併記表示も増えていますが、まだまだ不十分です。
同時にこれは表記だけの問題ではなく、あらゆる面で訪日外国人への「おもてなし」を進化させることの重要性を示しています。それによって世界中に日本ファンを増やし日本の評価を一段と高めていくことにつながるのです。
第2は、親日国との関係強化です。日本人の中で、フィンランドが親日国であることを知っている人は果たしてどれほどいるでしょうか。フィンランドと言えば、ノキアとサウナをすぐに思い浮かべますが、女性の活躍という点でも特筆されます。内閣府の資料によると、賃金総額、就業者数、労働時間の男女比はいずれも世界で1位(つまり、ほとんど男女差がない)、高等教育の女性の在学率も世界1位です。日本の成長戦略にとって重要な柱である女性の活躍を推進する上で、フィンランドの実情は大いに参考になるはずです。
前述のヘルシンキ空港も参考になります。同空港は欧州有数のハブ空港となっています。北欧だけでなく欧州全域に向けた中継地となっており、日本をはじめアジア各都市とも結んでいます。日本が羽田・成田空港をハブ空港として整備を進めていくうえでも、学ぶべき点は多いと思います。
フィンランドのほかにも親日国と言われる国がいくつかありますが、向こうが日本のことを大好きなのに、肝心の日本人がそのことをよく知らなかったり、その国のことをあまり知らないケースがよくあります。これでは相手に対して失礼ですし、せっかくの好条件を無駄にしているようなものです。外交的にもこれらの国々との関係をもっと強化していく努力をしていくべきでしょう。
こうしたことを通じて、日本が一段とグローバル化し、世界の中でプレゼンスを高めていくことが重要だと感じた旅でした。
*本稿は、ストックボイスHPのコラムに掲載した原稿(12月19日付け)を一部加筆修正したものです。