このたび、『経済で読み解く昭和史』(PHP新書)を上梓しました。
2025年は「昭和100年」、2026年は「昭和100周年」に当たり、昭和が話題になる機会が増えています。
昭和は「金融恐慌」と「昭和恐慌」という二つの経済危機で始まりました。この危機に立ち向かったのが高橋是清で、思い切った財政出動と事実上の金融緩和によって恐慌脱出と景気回復に成功しました。このことは、今日にも多くの示唆を与えています。
だがやがて日本が戦争への道を突き進んだことは周知のとおりです。この歴史を二度と繰り返してはならないことは言うまでもありません。
戦後は、焼け野原からわずか10年で復興を成し遂げ、続いて高度経済成長を達成するという驚異的なエネルギーを発揮しました。それは1本調子だったわけではなく、戦後の混乱や何度かの不況など試練を乗り越えて実現したものです。日本人の不屈の精神、日本企業の技術力やチャレンジ精神、そして「日本を再建する」「豊かな日本を作る」という高い志が原動力となったのでした。
高度成長の後には石油危機、円高、貿易摩擦など困難が続きますが、昭和の最後にはかつてない好景気を実現しました。それは「バブル」となり、平成に大きな傷を残すことになりますが、好景気だったこと自体は否定されるべきものではありません。
こうした昭和経済の歴史には、「日本の底力」が表れています。
一方では、経済政策や企業の行動の中には失敗も少なくありません。それも含めて昭和の歴史には、令和の日本経済復活にとって貴重な教訓とヒントが詰まっています。
本書が、令和の日本経済復活の一助になることを願っています。
<本書の構成>
序章 激動の昭和から学ぶ
第一章 恐慌で始まった昭和
第二章 戦争の時代
第三章 戦後復興――「奇跡の復活」
第四章 高度経済成長――元気だったあの頃
第五章 高度成長の終焉――試練の時代
第六章 バブルへの道
終章 令和の日本経済復活に向けて











