経済コラム「日本経済 快刀乱麻」

Vol. 75 「令和」で日本経済復活へ!

(2019年04月05日)

新しい元号が「令和」に決まりました。この言葉自体の示す意味や新鮮な響きとともに、日本の古典である万葉集を典拠としたことなど、非常に良い元号になったと感じます。これを経済の視点から見ると、令和という新しい元号の下で日本経済が復活を遂げることに期待が込められていると言えるでしょう。

まず、令和の「令」には、良い、という意味があるそうですから、経済的にもよい時代になるという意味がありますし、「令」という字が始めて元号に使われたという新規性があります。一方で、「和」はこれまでも昭和をはじめ数多くの元号に使用されてきたという伝統があります。まさに有識者懇談会の山中伸弥京都大学教授がコメントされていたように「伝統を重んじるとともに、新しいものにチャレンジする日本のこれからの姿にピッタリ」で、日本経済復活をめざすうえで、日本が伝統的に培ってきた強みを生かすと同時に、新技術開発やグローバル化の取り込みなどで挑戦していくことは重要な点です。

また「和」には、日本経済が元気だった昭和を連想させますし、和、すなわちすべての日本人の力と知恵を集めて、オール・ジャパンで新しい時代を作るという意味も込められているように感じます。典拠となった万葉集は、皇族から一般庶民まで含む幅広い階層の人たちの和歌を集めて歴史に残る古典となりました。これも現代になぞらえれば、さまざまな立場の日本人が力を結集して一つの歴史を作るというメッセージと見ることもできるでしょう。

平成の時代を振り返れば、残念ながらバブルが崩壊して長年にわたって経済低迷が続きましたが、最後の数年に至ってようやく景気が回復してきています。安倍首相の記者会見の表現を借りれば、現在の日本経済は「厳しい冬の後に春の訪れを告げて、梅が咲き始めた」ところであり、「梅が見事に咲き誇る」のが令和の時代ということになるでしょうか。

実際、「令和」の発表を受けて、新元号にちなんだ商品やサービスが早くも話題になるなど祝賀ムードが広がっています。こうした改元による経済効果はしばらく続くでしょうし、心理的な面でも多くの人々が前向きな気持ちとなって、そのことが直接的にも間接的にも経済活動に反映することが考えられます。これは景気を下支え、あるいは刺激する効果につながります。

この数年、日本経済はかなりの回復を見せており、多くの企業は構造改革を進めて収益力をかつてない水準にまで高めています。例えば、令和の発表と同じ日に発表された日銀短観では、大企業製造業の景況感が悪化しましたが、中小企業の非製造業は逆にプラスとなっていました。また2019年度の経常利益・純利益計画が大企業は減益だったのに対し、中小企業は増益の計画となっています。中小企業は意外に頑張っていることがわかります。

このように日本経済は世間のイメージ以上に強さを取り戻しつつあるのです。これはバブル崩壊後には見られなかった現象であり、日本経済は構造的に強さを取り戻しつつあると言えます。もちろん海外情勢は波乱続きですから楽観はできません。しかし平成の最後になって表れた新しい変化――この流れが令和の時代にしっかり引き継がれて、日本経済が本当に復活したと言えるようになる可能性は大いにあると見ています。

ちょうど新元号の発表があった4月1日、ラジオNIKKEIの経済番組「マーケット・トレンド」(毎週月~金曜日・午後6:00~6:15)に出演し、新元号時代の日本経済の展望について本稿で述べた内容をお話ししました。

ラジオNIKKEIの番組内容は、下記のURLをご覧ください。
  http://blog.radionikkei.jp/trend/post_1148.html

番組OA後、山本郁キャスターと(TOCOM=東京商品取引所=スタジオで)

*本稿とほぼ同じ内容は、公式ブログ「経済のここが面白い!」にも掲載しています。
 https://ameblo.jp/okada-economics/

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