経済コラム「日本経済 快刀乱麻」

Vol. 40 佐藤真海さんにあらためて感動

(2014年2月1日)

先日、パラリンピアンの佐藤真海さんのお話を聞く機会がありました。佐藤真海さんといえば、昨年9月のIOC総会でのあの感動的なスピーチが記憶に新しいところですが、今回のお話も感動的なものでした。

皆さんもすでにご承知のように、佐藤さんは子供のころから陸上や水泳などのスポーツで活躍し早稲田大学入学後はチアリーダーとして活動していましたが、大学在学中に骨肉腫のために片足切断を余儀なくされました。一時は精神的に大変落ち込んだそうです。しかしそれを乗り越えて、スポーツを再開し走り幅跳びの選手として、アテネ、北京、ロンドンと3度のパラリンピックに出場を果たしました。

2011年3月には東日本大震災で故郷の宮城県気仙沼が甚大な被害を受け、佐藤さんも家族と6日間も連絡がつかなかったそうです。さぞつらかったことと思います。

このようにご自身の病気と震災という二度にわたる大変な経験を乗り越えてこられたわけですが、それについて一見すると淡々と話をされている様子が、かえって聞いている者の胸を打つものがありました。佐藤さんは、この経験を通じて「大事なのは、何を失ったかではなく、何を持っているかだ」と思うようになったと語っていたのが印象的でした。

佐藤さんは大学卒業後、サントリーに入社しましたが、同社の「やってみなはれ」という言葉にも励まされたといいます。この言葉は、当社の先代社長の故・佐治敬三氏の口癖だったもので、何事も失敗を恐れずに挑戦してみるという同社の社風は現在も引き継がれているようです。

佐藤さんは同社の社員として仕事をしながら、アスリートとしてトレーニングに励み、大会ごとに記録を伸ばし順位を上げています。昨年はロンドン・パラリンピックを上回る自己ベスト記録を出しました。

またその合い間をぬって各地での講演や被災地支援にも飛び回っており、その活動ぶりには頭が下がります。と同時に、こちらも元気づけられる気持ちになります。

このような佐藤さんの努力が、東京オリンピック・パラリンピック開催を引き寄せたと言えます。佐藤さんのお話を聞いて感動し元気づけられたように、東京オリンピック・パラリンピックは日本を元気にし、日本を一つにまとめる力を持っていると改めて実感しました。日本経済の復活という観点からも、2020年が大きな目標となることは間違いありません。政府や東京都のオリンピック関連事業だけでなく、アベノミクスとの相乗効果や心理的な盛り上がりや一体感といった効果も期待できるでしょう。

東京都知事選が告示されましたが、原発問題だけでなく、こうした東京オリンピック・パラリンピックについての議論にも注目していきたいと思います。

*本稿は、ストックボイスHPのコラムに掲載した原稿(1月24日付)を加筆修正したものです
http://www.stockvoice.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=2493

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