経済コラム「日本経済 快刀乱麻」

Vol. 35 連載・マスコミとの付き合い方
第2回 もっとテレビ広報の重視を

(2013年12月5日)

私は新聞とテレビの両方のメディアを経験し、テレビでは「ワールドビジネスサテライト(WBS)」をはじめ多くの経済番組を担当してきました。その経験から感じるのは、企業はもっとテレビ向け広報に力を入れるべきだということです。

メディアの中でもテレビの影響力はますます大きくなっており、広報媒体としてテレビの重要性は増大しています。かつては、テレビで個別企業のニュースを取り上げる頻度はそれほど多くはありませんでした。しかし今は、テレビでも企業ニュースが大きく取り上げられるケースが増えています。

テレビの側から言うと、同じ経済ニュースというジャンルでも、金融やマクロ経済に比べて、企業ものは意外に「絵」になるのです。テレビ東京で言えば、WBSの「トレンドたまご」などはその代表例ですが、ほかにも同番組の中の特集物や「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」など企業をじっくり取材する経済番組も増えています。

テレビ東京以外でも、各局ともニュースで企業を取り上げる頻度が増えているように思います。ニュース番組に限りません。情報番組やワイドショーなどでも扱うケースもあります。

以前、ある民放の情報番組で「新幹線の車内清掃のすごさ」を放送していました。東京駅で出発前のわずか何分間かで、全ての座席カバーを取り替え、シートとテーブルなどをさっと拭いて行く手際の良さに驚かされました。同時に、清掃作業員たちが清掃時間短縮のために工夫を重ねていることや仕事に誇りを持っていることに感銘を受けました。これが日本企業の強さであり誇りだということが画面から伝わってきました。まさに映像のインパクトです。

こうしてみると、企業にとってテレビへの露出のチャンスは増えています。これを活用しない手はありません。ではどのようにテレビ広報に取り組めばいいのでしょうか。

まず第1に、広報の大方針としてテレビをもっと重視する戦略を構築することです。広報部署にテレビ担当者を専任で配置するぐらいの体制があっても良いと思います。

第2に、テレビの特性、つまり映像を意識した情報発信が重要です。例えば先ほどの新幹線車内清掃のように、映像で見せると効果的なネタ、あるいは新聞では扱いは小さくてもテレビなら大きく扱えるネタなど、いわゆるテレビ向きのネタというのは結構あるものです。広報担当者の多くは新聞記事を想定してニュースリリースを書いていると思いますが、その中にテレビを意識した情報や映像的な視点を盛り込むと、テレビの担当者の目に入りやすくなるでしょう。

そのためには普段からテレビをよく研究することが大事です。これが第3のポイントです。どういうネタがテレビで大きく扱われているか、各局・各番組の特徴をよくつかみましょう。同じ局でも番組によって性格が違いますので、その点もよく把握して、どこに売り込むのが効果的かを日頃からリサーチしておくことが必要です。

*一般財団法人・経済広報センター発行の『経済広報』2013年11月号(11月1日発行)に掲載された原稿を転載したものです。
http://www.kkc.or.jp/pub/period/keizaikoho/pdf/201311.pdf

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